2020年12月9日
犬猫の遺伝病撲滅に向けた取り組み状況について
犬猫に対する人間の責任を考える ~ 特定の遺伝病で、発症リスクのある犬の減少を確認
ペット保険シェアNo.1のアニコム損害保険株式会社を子会社に持つアニコム ホールディングス株式会社(代表取締役 小森 伸昭、以下 アニコム)では、2017年より犬猫の遺伝病撲滅に向けた取り組みを実施しています。主にブリーダーに向けた遺伝子検査の提供と、その結果にもとづく適切なブリーディングの提案を行ってきたところ、『犬猫の遺伝病は確実に減らせる』ということが明らかになってまいりましたので、今回ご報告いたします。
(※)シェアは、各社の2019年の契約件数から算出。(株)富⼠経済発⾏「2020年ペット関連市場マーケティング総覧」調査
■ 背景:犬猫の遺伝病を生み出した人間の責任を考える
そもそも犬や猫は、大昔に野生動物から『家畜』として人間と共に暮らすようになった後、近代以降に「犬種」や「猫種」を人間が創り出し、現在の『ペット』という形態として確立されてきました。この犬種や猫種といった品種を生み出す鍵となるのが「遺伝子」です。
胴長短足のダックス・フンドや世界最小の犬種チワワなど、個性際立つ品種を確立させるには、その特徴をより顕著に出すよう交配(ブリーディング)をする必要があります。いわゆる近親交配に近いことを繰り返して、ようやく品種を生み出すことができるのです。そのため犬や猫の場合、他の生物と比べて非常に血が濃くなっていると同時に、病気の遺伝子(=遺伝病)も色濃く受け継いでしまっています。
もちろん我々人間は、こうした遺伝病を意図的に生み出そうとしてブリーディングを行ってきたわけではありません。しかし品種を生み出すと同時に、遺伝病も生じさせてしまったのは事実です。だからこそアニコムでは、遺伝病を撲滅させるのも、犬猫と共に生きる我々人間の責任ではないかと考えました。
そこで取り組んだのが、ブリーダーにおける遺伝子検査と、適切なブリーディングの提案です。
■ 実績:4年間で、のべ21万件の遺伝子検査を実施

2017年に本取り組みを開始して以降、のべ21万件の遺伝子検査を実施してきました。その内訳は、犬が7割以上、猫が3割弱となっています。
取り組み当初は賛同していただけるブリーダーやペットショップは少なかったものの、徐々に協力を得られるようになり、現在は月間8,000件近くの検査を受注するまでにいたりました。
さらに現時点で、検査可能な病気は犬で約50種類・猫で約15種類となっています。その中には、実際に発症リスクの減少に成功している病気も出てきています。
■ 実例:コーギーの変性性脊髄症(DM)について

ウェルシュ・コーギー・ペンブロークでは、変性性脊髄症(Degenerative Myelopathy:DM)という遺伝病の発症が多いことが知られています。DMは、8歳頃に後ろ足の麻痺から症状がはじまり、数年をかけて進行し、最終的には呼吸器にまで麻痺が及んで死に至る、非常に悲しい遺伝病です。DMを引き起こす遺伝子変異(の少なくとも一部)は明らかとなっていて、コーギーは世界的に、その変異を保有する割合が高いことが知られています。
このDMに関して、遺伝子検査と適切なブリーディングの提案を継続してきた結果、着実な成果が出ています。2017年には発症リスクのある個体(=アフェクテッド)の割合が42%であったのに対し、2020年には16%にまで減少しました。
近い将来、DMで苦しむコーギーが日本からいなくなる日が来るかもしれません。
■ 今後:遺伝病を減らし、犬猫と飼い主の幸せのために
日々の暮らしに寄り添い、どんなときも心を明るくし続けてくれる犬猫たちのために、私たち人間ができること・すべきことは、まだまだたくさんあると考えています。遺伝病を減らすのも、そのひとつです。
今回ご紹介したコーギーのDM以外にも数多くの遺伝病が存在し、それによって苦しむ犬猫と、その飼い主がいることは事実です。今後もアニコムでは1つでも多くの遺伝病を撲滅し、幸せな犬猫とその飼い主を増やすべく、尽力してまいります。
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『犬へ恩返しをするために、遺伝子検査でできること。』
(https://mag.anicom-sompo.co.jp/16079)
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