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気候変動
■TCFD提言に基づく情報開示
昨今、世界では気候変動をはじめとする環境課題が深刻化しています。日本国内においても、異常気象による大規模な自然災害が多発するなど、今や気候変動は最も重要な社会課題の1つとなっています。
このような中、ペット保険事業を主たる事業とする当社グループにおいては、自然災害を補償していないことから、他の損害保険会社のような損害の発生は想定されておらず、気候変動が直接的に当社グループの事業活動に及ぼす影響は限定的であると認識しています。
一方で、気候変動への対応は持続可能な社会の実現に不可欠であると認識しており、当社グループとしても取り組むべき課題であると捉えています。2022年6月に制定した「サステナビリティ基本方針」においても、重点課題として「環境への貢献」を位置づけており、温室効果ガスの排出量削減、廃棄物の削減と再利用の推進といった、気候変動への対応や生物多様性の保全に向けた活動に取り組んでいます。
2023年4月には、TCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures:気候関連財務情報開示タスクフォース)提言への賛同を表明しました。TCFD提言に基づく開示を行うことは、気候変動に対する当社取組みを推進するために有益であるととらえ、「ガバナンス」「戦略」「リスクマネジメント」「指標と目標」の4項目での開示対応を行っています。(1) ガバナンス
当社グループでは、サステナビリティ経営をグループ全体で横断的に推進するため、経営意思決定機関である取締役会の監督の下、業務執行を担うグループ会社の取締役及び執行役員等で構成される「グループ経営会議」にて、半期に一回程度、サステナビリティに関する取組みの進捗について議論を行い、取締役会へ報告しています。
取締役会は、「グループ経営会議」にて議論された内容の報告を受け、当社グループの環境課題への対応方針や実行計画等について議論を行っています。
(2) 戦略
気候変動リスクの顕在化に伴う外部環境や事業環境の変化を想定し、リスク事象を洗い出すことで、当社グループへの影響を特定・評価しています。当社グループの事業に対する主な気候変動リスク・機会は以下の通りです。
種類 想定される気候変動リスク・機会の当社グループへの影響 移行リスク 政策・法規制 温室効果ガス排出抑制の政策導入・規制強化によるエネルギーコストの増加 評判 低炭素への取組みが不十分なことによるレピュテーションリスクの低下 物理リスク 急性 自然災害による当社グループの事業拠点への被害
自然災害の増加による保険金増加慢性 ペットの健康リスク増加による損害率上昇、収益力低下 機会 市場 ペットの健康リスク増加によるペット保険、
口腔ケア等の健康促進事業の需要増加製品/サービス 災害時のペット同伴避難、災害地区のサポート、
ペットの防災関連サービスといった新商品の提供(3) リスク管理
ペット保険事業を主たる事業とする当社グループにおいては、自然災害を補償していないことから、他の損害保険会社のような損害の発生は想定されておらず、気候変動が直接的に当社グループの事業活動に及ぼす影響は限定的であると認識しています。
当社グループでは、「グループリスク管理基本方針」を制定し、当社グループの経営に影響を及ぼしうるリスクの予見・コントロールに努めるとともに、サステナビリティに関して特に環境変動を想定した応答活動を常に準備し、不測の事態にあってもサービスや商品の品質を維持し、事業継続ができるように、リスク管理体制の構築に努めています。また、リスク管理に関する会議体として「グループリスク管理委員会」を設置しており、サステナビリティに関する取り組みを含むグループの個別リスク管理の状況及び統合的に評価したリスクの状況等に関して議論を行い、取締役会へ報告等を行うことで、経営におけるリスク管理等の推進を図っています。
また、「グループ倫理規範」において、サステナビリティを追求するためにはリスク管理体制の構築及び内部統制の整備が必要不可欠であり、最善を尽くさなければならないことを明記しています。当社グループが保有するリスクを正しく認識するため、エマージングリスク(将来新たに発現し、当社グループの経営に大きな影響を及ぼす可能性のあるリスク)も含めたリスクの概要を網羅的に洗い出し、サステナビリティに関するリスクを含めたリスク・プロファイルを定期的に作成しています。(4) 指標及び目標
当社グループではパリ協定の実現を目指し、温室効果ガスの削減に取り組んでいます。気候関連リスク・機会の管理に用いる指標として、Scope1+2の実質温室効果ガス排出量を指標として定め、開示しています。
具体的には、「中期経営計画2022-2024」の期間に合わせ、Scope1+2実質温室効果ガス排出量について、2020年度を基準年度として2023年度に50%、2024年度に100%削減を目標として設定しています。また、今後はScope3についても算出対象の特定、排出量算出及び開示に取組み、2030年までに算出対象のScope3を含めた総排出量を2020年度と比較して最低50%削減、2050年までのカーボンニュートラル達成を目指します。単位 2020年度
(基準年度)2021年度 2022年度 2023年度 2024年度
(目標)Scope1+2
GHG排出量t-CO2 824 1,050 1,225 271 0 -
(注)
- 1.算定対象は当社及び連結子会社としています。
- 2.データ収集体制が整っていない一部のグループ動物病院については、2022年度までは算定対象から除外、2023年度から病院規模別の平均排出量を算入しています。
- 3.6.5ガスは算定対象外としています。
- 4.環境省・経済産業省が公表する電気事業者ごとの「調整後排出係数」を用いて算出しています。
- 5.2023年度は非化石証書を購入することでScope2の再エネ比率100%を達成しました。
■紙使用量削減
アニコム損保のペット保険の約款や冊子類、申込書・請求書・お客様宛通知などの帳票類の電子化を推進するなど、物流や紙の削減に取り組んでいます。
また、働き方改革の一環として、電子承認や資料の電子化といったペーパーレスに取り組むことで、社内の印刷出力枚数を削減し、2021年度は2019年度と比較して紙の使用量が年間約110万枚減少しました。紙の生産や運搬と印刷機の稼働量削減に伴い、CO₂排出量削減など環境への配慮にも取り組んでいます。■温室効果ガス削減
温室効果ガス削減に向け、営業活動において、ガソリン車と比較し、温室効果ガス排出量の少ないエコカー(PHEV)を社用車として導入を開始し、今後も切替を促進予定です。車両管理デバイスの導入により、エコドライブに努め、年間10%のCO₂削減に取り組みます。
また、オフィス内の使用電力量の抑制対策として、空調管理の徹底(冬は暖房20℃・夏は冷房28℃に設定)や、複合機等のOA機器の省エネモードへの移行設定、服装カジュアル化を積極的に取り入れることで節電・省エネ意識の向上に努めています。
本社オフィスにおいては、環境・社会への配慮がなされた不動産であるDBJ Green Building認証のビルへ入居しています。 -
(注)
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脱プラスチック
■健康保険証の素材見直し
アニコム損保では、ペット保険のご契約者向けに、対応病院の窓口で提示するだけで保険金請求が完了する「どうぶつ健康保険証」を発行しています(年間発行枚数約120万枚)。
この健康保険証の素材を2022年から見直し、JIS規格のプラスチック素材保険証と比較して、約42.7%のプラスチックを削減しました。これにより、年間で約2.58トンのプラスチック削減と約42.5%のCO₂排出量削減を見込んでいます。
また、スマートフォン上で健康保険証が表示できる電子版保険証「e-どうぶつ保険証」をリリースし、カードタイプの保険証が不要なご契約者については、電子版のみのご用意とすることを検討しています。こうした取り組みを推進することで、プラスチック削減を進めています。 -
生物多様性
■公益財団法人世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン)への支援
環境保全に取り組む公益財団法人「WWF」の活動を支援しています。2023年12月現在、IUCN(国際自然保護連合)が作成する「レッドリスト」で、絶滅のおそれが高いとされている野生生物は、約4万4000種います。
一緒に暮らしているペットを思う気持ちも、野生動物や自然環境を思う気持ちも同じ「命」を思うことと考え、「野生ネコの王国 キャンペーン」や「WITH STAMP キャンペーン」等の活動を応援した他、社内セミナーやオウンドメディアを通じて、活動を周知しています。 -
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